一級建築士製図試験に合格するためには、
- 課題文の条件を満たす
- 機能するふつうの建物を計画する
これだけで十分です。
素敵な建物いりません。アイディア満載のプランいりません。これ以外のことをやっても、合否には関係ありません。
上記の2つを叶えるために必要な優先順位が存在します。
あなたは、一級何士になりたいですか?一級植栽士?一級駐車場士?一級家具士?
そんなの、一級建築士に決まってんだろがぁ!!と思ったら、次の優先順位を頭に入れておいてください。
製図試験合格に必須の優先順位
課題文 >>> ありとあらゆる全て
これまでの実務経験や見学した建物、解いた課題などと矛盾していても、課題文に従ってください。製図試験当日は、課題文が全知全能の神様になります。課題文がルールです。ルールに違反した時点で、負けます。
6時間半で採点の土俵に上がる >>> 気づかい
どんなに丁寧にエスキスや作図をしたところで、採点されなければ意味がありません。勇気をもって、時間を見極めましょう。
1/400を描かないと、作図に入れないなんて、言わないで下さい。倍コマでプランをつめて、1階器の輪郭と外構だけを1/400で確認すれば、作図に移行できます。大幅に時間を短縮できるため、初受験生の方も毎年これで合格しています。
これ以降は、課題文の条件を満たしていることが大前提です。
建物 >>> 外構
この試験は、一級”建築”士試験です。もし、計画上、建物と外構が干渉しそうになったら、建物を優先してください。
駐車場の形状を気にして、建物を犠牲にしてしまう受験生の方がいます。それは、一級”駐車場”士試験の対応方法です。一級建築士を目指すのですから、建物の内部を守ってください。
利用者空間 >>> 管理者空間
建物は、利用者のために存在します。管理者はその建物を管理するために存在します。
やたら、管理部門だけがきれいなプランもありますが、計画しやすいからといって、管理部門からやっちゃだめです。
管理者にも心地よい空間を提供できればベストですが、そのために利用者空間を犠牲にしてよいはずがありません。住宅を作る時に、リビングよりも居心地の良い物置を作りますか?
面積指定のある室 >>> 面積指定のない室
なぜ、200m2要求のホールと、適宜要求の倉庫を、等しく扱うのですか?そんなことしてたら6時間半では終わりません。出題者がわざわざ面積指定のある室とない室に分けている意味を想像してみましょう。
しかも、最近、自分で面積読みしておきながら、途中で課題文の要求だと勘違いしてしまう受験生が多すぎます。「器に納まりませんでした。」と試験後にメールを頂いたので、エスキス用紙のデータを送って頂いたところ、エスキス用紙に区別なく室名と面積が書き込まれていました。優先順位があいまいになって当然です。
自分で自分を窮地に追い込んでいる場合ではありません。適宜は、文字通り、適宜の扱いでいいんです。
※ただし、面積が推定できる文言がある場合は、面気要求がある室と同レベルで扱って下さい。また、全てが適宜要求の場合は別です。
動線条件のある室 >>> 動線条件のない室
動線条件のある室は、部門全体の配置にも影響を与えます。同じ部門の動線条件のない室は、条件のある室にひっぱられていく存在です。大切に扱うべきは、出題者が動線条件を与えた室です。
確認時間 >>> 図面密度
どんなに図面に描き込んでも、課題文の条件を外していたらまったく意味がありません。その上、図面密度が合否に影響した事実はこれまでのところ確認されていません。課題文が描けといっているものだけ描いてあれば合格できます。
一級植栽士のごとく植栽をいっぱい描く前に、自分のプランを確認してください。効果的な確認方法は、トレース・エスキスにも収録しました。
まとめ
課題文に書かれていないことをどんなに達成しても、課題文に書いてあることを満たしていなければ、アウトです。特に、初受験生の方は、情報に振り回されがちです。課題文に書いてあることだけに集中して下さい。それ以外のことは、よほど余裕がある場合を除いて、対応する必要はありません。
だって、ほとんどの図面は、課題文に書いてあることすら満たせずに毎年不合格になっているのですから。