【構造力学】2018年平成30年度第3問ピン接合問題を解いてみた【201803】

[chat face=”hakase300.png” name=”博士” align=”left” border=”none” bg=”gray”]こんにちは、博士です。[/chat]

ちょっとファンキーな形の骨組みをみるとびびってしまいませんか?

大丈夫です。

必要なところだけちょんぎってしまえば難しくありません。

やってやりましょう!!

ピン接合201803

問題
図のような水平荷重Pを受ける骨組みにおいて、A点における曲げモーメントの大きさとして、正しいものは、次のうちどれか。

普段は、キーワードを抽出するのですが、今回はほとんどキーワードがありません。

そこでまず、何がわかると答えに行きつくのか、という点をお話しした上で、解き方を説明していきます。

前提


問題文では、A点におけるモーメント、MAの大きさが問われています。

図のように、A点の下をB点、反対側をC点、上部をD点とします。

反力

ここで、水平荷重Pに対して、反力が発生することは理解できていますか?

反力とは、荷重に対して、釣り合おうとする力のことです。

建物が安定して存在しているということは、荷重に対して反力が発生し、釣り合っている、ということになります。

カギとなる未知数

では、このMAを計算するためには、何が必要でしょうか?

答えは、水平反力HBです。水平反力HBさえわかれば、この問題は解けます。

理由は、2つ。

❶A点周りのモーメントがゼロ

安定した構造物はどこで切断しても、力のつり合いが成り立つため、A点を中心としたA点から下のモーメントの合計は、ゼロになるからです。

建物が安定しているということは、どの点で見ても、力のバランスがとれている状態です。

そのため、A点から下のモーメントの合計は、ΣMA=0と表すことができます。

MAの前にある記号は、シグマと読んでください。合計という意味です。

❷モーメントは距離かける力

モーメントは距離かける力で求まる、からです。

A点を中心とした、A点から下のモーメントの合計は、次のように表現できます。

ΣMA=0から、-MA+L×HB=0

時計回りのモーメントをプラス、反時計周りのモーメントをマイナスで表現しています。

問題文ではMAを求められているので、

MA=L×HB

とします。

A点からの距離はLと判明していますので、未知数はHBだけです。

よって、HBさえわかれば、この問題は解けます。

念のため触れておくと、垂直反力VBは、ΣMAに関係ありません。

理由は、VBがA点にまっすぐ作用するため、A点との距離がゼロになり、VBによるモーメントは発生しないからです。

では、水平反力HBを求めていきましょう。

力のつり合い

いくつか関係式を作って、HBを追い込んでいきます。

まず、安定した構造物ですので、力が釣り合っていることから、水平方向の力の合計がゼロになることを利用して、

ΣX=0からP-HB-HC=0

Xは水平方向という意味です。

右向きの力をプラス、左向きの力をマイナスとしています。

同様に垂直方向の力の合計がゼロになることを利用して、

ΣY=0からVB+VC=0

Yは垂直方向という意味です。

上向きの力をプラス、下向きの力をマイナスとしています。

ある点周りのモーメント

B点周りのモーメントの合計


また、B点周りのモーメントの合計もゼロになることを利用して、

ΣMB=0からMB+P×L-VC×2L=0

なお、B点は回転が可能なピン支点のため、MB=0です。

補足すると、B点周りのモーメントの合計ΣMBではなく、ここで言っているのはB点に生じるモーメントMBがゼロになるとういうことです。

よって、

VB+VC=0
0+P×L-VC×2L=0
から
VC=P/2, VB=-P/2、

と求まります。

D点周りのモーメントの合計


次に、D点周りのモーメントの合計ΣMDも0になることから、D点の左側を使って、

ΣMD左=0から、MD+VB×L+HB×3L/2ーP×L/2=0

となります。

D点は回転するピン接合ですので、MD=0です。

先ほどの、VB=-P/2を代入すると、

0-P/2×L+HB×3L/2-P×L/2=0
から
HB×3L/2=P/2×L+P×L/2
となり
HB=2P/3

と求まります。

やっとHBがわかりましたね。

ラスボス


冒頭の式に戻って、ΣMA=0より、MA-L×HB=0にHBを代入すると、

答えは、MA=2PL/3、となります。

お疲れ様でした。