それ間違ってない?製図試験における割増係数3つの誤解

まわりがやっているからと言う理由で、割増係数なるものをなんとなく使っていませんか?でも、上手く使えなくて、困っていませんか?割増係数を上手く使えていない受験生の典型的な間違いをご紹介します。
今日から、あなたは割増係数マスター。

割増係数とは?

課題文に明記されている面積の合計、または、受験生自ら推定した室面積を含む合計に掛けることで、廊下などの共有部を含む全体ボリュームを求めるために使用される数値のことです。

面積 × 係数 = ボリューム

なぜ割増係数が必要なの?面積にかける必要があるの?

器に室を1つ1つ配置していってもいいのですが、非効率的な上に、ゾーニングが崩れるリスクをともないます。そこで、共用部を含む、部門や部門内のボリューム単位で配置するために、この係数が必要となります。

使いこなすことが出来れば、限られた時間で計画をまとめるための、とても優れた手段となります。

ちなみに・・・

器とボリュームは別物です。
器は入れ物=建物のフレーム
ボリュームは中身=共用部を含む室面積の合計

割増係数にまつわる間違いTOP3

”いつも同じ係数を使えばいい”

割増係数は、受験生一人一人異なります。

なぜなら、”面積を読む度合”によって、係数を変える必要があるためです。

【面積を推定するヒントがない”適宜”指定の室面積:例 倉庫】を積極的に読む方は、割増係数が小さくなります。反対に、”適宜”面積を積極的に読まない方は、割増係数が大きくなります。

例えば、適宜要求の室も、コアも、エントランスホールもすべて面積を読む場合、係数に1.4を採用すると、器を大きくオーバーするケースがほとんどです。

室名 特記事項 床面積
会議室  – 100m2
倉庫  – 適宜
客室 4人1室とし8室設けること。 適宜

 

目安
全ての適宜を読む 1.2
コアだけを読む 1.3
まったく読まない 1.4

あくまでも目安です。面積読みと係数のパターンを試して、もっとも使いやすい組み合わせをみつけてください。

また、課題によっては、いつもの組み合わせにもかかわらず器をボリュームがオーバーしてしまうこともありえます。その場合は、0.1ずつ係数を下げて調整していきましょう。

注意:【面積を推定するヒントがある”適宜”指定の室面積:例 客室】は、面積指定のある室と同等に扱います。

”正確に計算して器にボリュームが納まらないと計画はできない”

係数から求めたボリュームが、少しぐらい器に納まらなくても、計画は可能です。1.4を使う場合、2コマオーバーまでなら、プランニングで何とかなります。

逆に、ユルユルだった場合も、気にすることはありません。例えば、1階はキツキツだけどなんとか計画できそう、一方の2階はユルユルだった場合、2階はバルコニーや吹抜け、屋上などを設けることで面積を調整してください。まったく問題ありません。

条件図にそった階振りを無理に崩してはいけません。器とボリュームのフィット感ばかりを気にして、器に合わせて階振りするのは、本末転倒です。条件違反をまねく第一歩です。スカスカ・ユルユル、どんとこいです。

ただ、アンバランスな階振りは、条件を読み間違えていることを示すシグナルの場合もあります。判断は慎重に。

”係数が1.4なら4割が廊下などの共用部だ”

計画に直接的な影響のない間違いですが、感覚としてずれながないように覚えておいてください。

室面積100m2 × 係数1.4 = 140m2・・・共用部を含む面積

140 – 100 = 40m2・・・共用部の面積

40 / 140 = 0.2857・・・共用部を含む面積に占める共用部の面積の割合

つまり、3割弱が共用部です。

内数のため、元の面積の4割が共用部になったにすぎません。
お間違えなく。

まとめ

便利なはずのエスキステクニックも、適切な理解がなければ、足を引っ張る原因にもなります。ぜひ、理解した上で、テクニックを駆使してください。

今日はここまで!!

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