こんにちは、博士です。
簡単トレース・エスキスでは、いわゆるプログラム図・動線図の代わりに、”条件図”というものを描きます。
条件図では、全ての室を描き出すわけではありません。動線や空間の条件がある室のみ描き出します。建物が機能することが大前提ですが、この条件に従って室を計画すれば、合格です。
条件指定のある室”だけ”を描き出す理由
- 死守すべき条件と室がはっきりする
- 支配的な要素を直観的に理解できる
- 時間がかからない
1.死守すべき条件と室がはっきりする
繰り返しますが、課題文が要求する条件を満たせば合格です。では、なぜ多くの受験生は、課題文の条件を満たすことなく不合格になってしまうのでしょうか?
それは、全ての室を同様に扱っているうちに、守るべき条件があやふやになってしまうからです。つまり、優先順位があいまいなエスキスになってしまうんです。
条件指定のある室だけを描き出すことで、どの室を丁寧に扱えば良いかわかります。
極端な言い方をすると、条件のない室は、所属する部門のボリュームに納まってさえいれば問題ありません。再現図の分析からも、この点は明らかです。
課題文はお施主さんです。
口数少ないお施主さんのリクエストに答えることなく、一級建築士にはなれません。提示された条件は、死守してください。
2.支配的な要素を直観的に理解できる
”条件図”では、1cm×1cm(4マス)を1コマとして、室を可視化します。その際、天井高指定の室を立体的に描いたり、動線条件を記号で表現します。
こうすることで、空間構成を支配する要素が一目でわかるようになります。大きな空間、動線条件、高さ方向の条件などが、主な支配的要素です。
たとえば、トレース・エスキスに従って条件図を描くとこんな感じです。
全ての室を描き出さないため、エスキス用紙のスペースを広く使うことができます。その結果、支配的要素の文字情報からイメージへの変換が可能です。
倍コマでのプランニングを前提に、1cm×1cm(4マス)を1コマとして描き出すため、プランニングにスムーズに移行できます。
課題文 ⇒ 条件図(イメージ) ⇒ プランニング
3.時間がかからない
条件指定のある室だけを描き出すため、時間はかかりません。今まで、全室を描き出していた方にとっては、大幅な時間短縮になるはずです。確認に時間をまわすことができます。
ただその反面、課題文とエスキス用紙をいったり来たりする回数は増えます。課題文との往復時間をとるか、エスキス用紙に全室を描き出す時間と労力をとるか。
課題文に書いてある情報を加工せずに書き写すなら、課題文を見ながらエスキスしたほうが効率的かもしれません。
上でも書いた通り、条件図の目的は、死守すべき条件を浮かび上がらせることです。全室を描き出す理由や目的が説明できない方は、一旦、条件指定のある室だけを描き出してみてください。
それで、エスキスがやりずらい場合は、全室を描き出してみてもよいかもしれません。
条件のない室を扱うタイミング
ここで「条件指定のない部屋は、いつ扱うのか?」という疑問がわきます。
トレース・エスキスでは、プランニングで扱います。それまでは、部門や部門を分割したボリュームの一部として扱うため、個別には扱う必要がありません。
むしろ、扱ってはいけません。
なぜなら、ゾーニングの前に室を1つ1つ配置していたら、6時間30分では終わらないからです。
トレース・エスキスでは、条件図を見ながら、
ゾーニングで部門”間”の条件を
プランニングで部門”内”の条件を
段階的に処理していきます。
さきほどの条件図だと、ゾーニングで赤線、プランニングで青線を処理します。
まとめ
条件図に関する質問が一番多いですね。課題文の文字情報を、視覚的な情報へ変換することも条件図の目的です。その後のゾーニングやプランニングに使いやすい条件図の書き方を検討してみてください。
今日はここまで!!