勉強方法を誤ると、この2か月間、焦るだけ焦って製図試験当日がきます。8年間、初受験生を製図試験の合格に導いてきたエスキスの勉強方法を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
前提として、エスキスの手順は、大きく分けると前半の情報整理と、後半の建築計画から構成されます。
エスキスの勉強方法
- 8月 エスキス手順の理解と暗記
- 9月 エスキス時間の制御
- 9月後半~10月 プラン感覚の確立
8月 エスキス手順の理解と暗記
一級建築士製図試験のエスキスは特殊なため、ゼロから組み立てるのは非効率です。合格者が確立してきたエスキス手順を徹底的にまねてください。トレースしてください。
エスキス手順一つ一つの目的を理解しながら進めましょう。工程ごとの必要性がわからなければ、どんなに学習しても課題を解けるようにはなりません。
同じ課題を何度もエスキスして、手順を暗記してください。同じ課題を使うことで、課題の内容ではなく、エスキス手順に集中することができます。
単純作業である情報整理は、慣れると何度やっても同じ結果になるため、無駄に感じられるかもしれません。しかし、初受験生の方は、その情報整理すら、スムーズにこなすことが難しいので、結果がわかっていても繰りかえしてください。
1週間に1課題のペースなら、次の課題までに最低3回=8月中に12回、
2週間に1課題のペースなら、次の課題までに最低5回=8月中に10回はエスキスしましょう。
時間
8月中は、時間を気にする必要は一切ありません。泳ぎ方を知らないのに、タイムばかり気にしても、意味がないのと一緒です。まずは、適切なフォームを身につけてください。スピードはそれからです。
他の受験生と一緒に課題を解くと、すっごく焦ります。でも、我慢。8月中に、6時間半で作図までなんてできません。その上、記述まで・・・できなくて当然です。気にしない。
8月中にエスキスの手順を理解して暗記できれば、9月で一気にスピードアップできます。
プランのレベル
時間と同様、気にする必要はありません。
8月中は、条件を外しても要求された諸室がすべて計画されていれば、とりあえずOKです。
ただし、どんなプランが合格プランなのかは、見極める努力をしてください。そのためには、同じ課題を解いた他の受験生のプランを多く見る必要があります。添削された自分の図面だけ見ていても、どんな図面が合格レベルなのか、永遠にわかりません。
一方で、自分のプランに対してどんな指摘を受けても落ち込まないこと。できなくて当たり前です。心ないことを言われても、受け流して下さい。8月に落ち込んでいる暇はありません。
何をまねる?
手前味噌ですが、『初受験生でもウカル簡単トレース・エスキス』をおすすめします。理由は、何もわからない初受験生でも、まねるだけでエスキスが出来るようにカスタマイズしてあるからです。
経験値がない初受験生がやると危険な手順や、特定の受験生でないとできないトリッキーな手順は、すべて省きました。誰がやっても出来る高い再現性をもっています。
構成は、1工程1見開きにしました。左側がエスキス用紙全体のパラパラまんが、右側が各工程のわかりやすい説明になっています。ページをめくりながら、エスキスができます。
しかも無料です。両面印刷した『トレース・エスキス』を左側においたら、ページごとの手順に従って、学校などの課題をエスキスしてみましょう。
8月が最重要期間です。ここでこけると後々苦しくなります。
9月 エスキス時間の制御
やることは、8月と変わりません。何も見ずに、エスキスしてみましょう。手順が思い出せないときは、テキストにもどっても構いません。
トレース・エスキスは、課題文にそった順番で構成されているので、途中で手順を忘れても、課題文をヒントに思い出すこともできます。
時間
目標3時間
急いでエスキスをする必要はありませんが、9月からは時間を測って下さい。どんどん短くなっていくのが実感できます。8月中にエスキスを理解できていれば、スピードアップは簡単です。
『トレース・エスキス』のSTEP0~STEP13までは、単純作業です。練習すればするほど時間短縮できます。STEP13まで1時間強が理想的です。
作図に3時間かかると、計6時間なので、まだ苦しいですが焦る必要はありません。
プランのレベル
要求されている諸室がすべて計画されていて、なおかつ部門ごとにまとまっていればOKです。合格レベルのプランが作れなくても、心配はいりません。
9月後半~10月 プラン感覚の確立
本試験を想定して、課題を解いていきます。課題文の条件に素直に反応することに集中して下さい。
時間
目標2時間30分
合計6時間30分に押し込むタイムマネジメントが必要です。作図時間とのトレードオフになりますが、
エスキス+作図=5時間30分としてください。要点の記入と確認に1時間は取りたいです。
初見の課題は、どんなに時間がかかっても3時間に抑えること。作図を2時間30分で切り抜ければ、可能性は十分にあります。
プランのレベル
めちゃくちゃ出来のいいプランである必要はありません。ただし、同じ課題を解いた受験生の中で、上位30%に入るプランが必要です。
模範解答のような100点満点のプランはいりません。100点目指した結果、20点ということはよくあります。上位30%にさえ入っていれば、見栄えが悪くても、頼りなくても、問題ありません。
10人なら上位3人
30人なら上位10人
上位30%なんて、ほんとに何の変哲もないプランの図面です。ふつーーーーです。
守るべきは、課題文だけ。もっというと、トレース・エスキスのSTEP11で作る「条件図」さえ満たしていれば、そう大きくは崩れません。
合否は、プランの上手・下手で決まるわけではいんです。課題文をいかに素直に、シンプルに満たせたかがポイントになります。
課題文に書かれてもいないことに一生懸命にならないでください。
まとめ
これまで初めての製図受験で合格された方と話してきた結果、8月は焦らず基礎固め、9月はほんのりスピードアップ、10月の試験当日にピークをぶつける、という流れが現実的だと考えています。
試験当日以外は、すべて練習です。それまでどんなに上手く出来ても、試験当日できなければ意味がありません。試験前日まで上手く出来なくても、当日1回だけ上手くいけば合格できます。そのためにも、背伸びせずに、まず基礎の習得に全力で取り組んで下さい。
今日はここまで!!