勝手に決めちゃだめ!そんなところで製図試験の合否は決まらない

製図試験

ある年の試験後、一人の受験生が、「既存部分に吹抜けを作っても合否には関係ないと思った。」と話していました。蓋をあけると、既存部・増築部のどちらに吹抜けを作ったかで、合否が決まっていたのです。このことから、試験中に、受験生が合否のポイントを決めつけることがいかに危険かということがわかります。

さらに言うと、課題のポイントと合否のポイントは違うということを知っていますか?

課題のポイントは、課題文を読めばわかります。
合否のポイントは、全受験生の図面を集めてはじめて”決定”されます。

図面が集まってからしか決まらないものをどうやって、試験中に知るのですか?

例えば、冒頭の年度を例に出すと、以下の通りでした。
課題のポイント:既存部分との接続
合否のポイント:吹抜けの位置

勝手な判断は、大ケガの元です。

受験生が製図試験中にやるべきこと

では、合否のポイントを決めつけない代わりに、私たち受験生は、何をするべきなのでしょうか?

課題文を可視化せよ

そもそも課題文とは、大元となるプランがあり、それを文字情報に置き換えたものです。受験生は、その文字情報から、再度、プランを起こすことを求められています。
つまり、逆再生しているにすぎません。

大元プラン ⇒ 課題文 ⇒ 受験生プラン

ただ、大元プランの全てをA3用紙上の文字情報に変換できるわけではないため、受験生のプランと大元のプランは一致しません。一致しなくて当然ですが、文字情報として与えられる条件は、キーとなるもののため、そられをバランスよく満たすだけで、大元プランに近づきます。

どうしても”プランを作る”という言い方をするので、何かを作り出すイメージを持ってしまいがちです。しかし、一級建築士製図試験で求められるものは、”創造力”ではありません。課題文=クライアントオーダー=文字情報を可視化する再現力が求められています。

課題文の条件は、「30歳以上」のようなざっくりした境界条件ではありません。より具体的で詳細な「福岡県出身の齋藤さんという35歳男性」ぐらいの”ヒント”です。

課題文に素直に反応する

そのため、素直に課題文に反応するだけでいいんです。課題文には指示が散りばめられています。うがった見方をしたり、上で書いたように何かを生み出す必要は一切ありません。

課題文の条件は、
「やれ」「やるな」
「近づけて」「離して」
のたった4つに大別されます。

課題文はあなたの味方です。言うことを聞いてくれない建築士には施主も冷たいですが、一生懸命オーダーを聞いてくれようとする建築士には穏やかに接してくれます。課題文は、ヒントにもワナにもなりえます。課題文との関係を決めるのは、あなたです。

まとめ

「今年の課題はここが勝負だと思ったので、がんばりました。」とメールを頂いた受験生の方の予想とは全く違う部分で合否が決まる現実を見るたびに、なんとも言えない気分になります。試験中に合否のポイントを考える時間があるなら、もう一つパターンを出してください。よほど合格に近づきます。

今日はここまで!!