[chat face=”hakase300.png” name=”博士” align=”left” border=”none” bg=”gray”]こんにちは、博士です。[/chat]
今日の問題に出てくる図は、何も知らない状態で見るとげんなりしますね。
中身を知ればそんなに難しくないので、さらっと目を通してみてください。
せん断力201804
問題
図は、2層のラーメンにおいて、2階に水平荷重P1、R階に水平荷重P2が作用したときの柱の曲げモーメントを示したものである。次の記述のうち、誤っているものはどれか。
❶2階に作用する水平荷重P1は,80kNである.
❷2階の梁のせん断力QBは,70kNである.
❸1階右側の柱の軸方向圧縮力NCは,105kNである。
❹右側の支点の鉛直反力 V は,120kNである.
要するに、P1、QB、NC、Vを全部求めて、選択肢の数値と異なるものはどれかを答えなさいという問題です。
計算していった結果、途中で正解がわかることもあります。
ただ計算を間違えている可能性もあるので、このような出題の場合は、一旦全て計算することをお勧めします。
[box05 title=”キーワードの補足”]
ラーメン:ラーメン構造のことで、ドイツ語で枠やフレームという意味
せん断力:はさみで紙を切るときのように、部材を挟み込む方向に作用する力
軸方向圧縮力:部材の軸方向と同じ方向に、部材を押しつぶすように作用する力
鉛直反力:上下方向に発生する反力
[/box05]
図の見方
こういう一見、小難しそうな図をみても、怖がる必要はありません。
問題文にもある通り、この図では水平荷重P1とP2によって柱に生じたモーメントを表しています。
この斜線部分がモーメントの大きさを表し、柱の端部でモーメントが大きくなっていることが読み取れます。
また、水平荷重によって、極端な表現をすると、赤い線で示したような変形が建物に生じたということがわかります。
なぜかというと、モーメントは変形で膨らんだ側、部材の引っ張り側に描くためです。
構造力学は、変形をイメージできると解きやすくなる問題が多いので、どのように変形するかを考えながら問題を解く癖をつけましょう。
ではここから、水平荷重P1・梁のせん断力QB・柱の軸力NC・支点反力Vを求めていきます。
水平荷重P1
P1を求めるためには次の関係式を解く必要があります。
P2 + P1 = 1階の柱に作用するせん断力
理由は、屋上に作用する水平荷重P2と,2階の床に作用する水平荷重P1の合計が,1階の柱に作用するせん断力の合計に等しいからです。
P2から求め行きます。
2階の柱に作用するせん断力の合計が、水平荷重P2になります。
P2は左側の柱と、R階を通じて右側の柱に伝わっていくイメージです。
では、2階の柱のせん断力はどう求めるかというと、2階の柱のモーメントの傾きを計算するだけです。
モーメントの傾きは、せん断力を表すと理解してください。
柱に作用するせん断力は= モーメントの傾きのため=(柱の端部に作用するモーメントの合計を)/ 階高で割って求めます。
P2=2階の左側の柱に作用するせん断力+2階の右側の柱に作用するせん断力
=(左側の柱の端部のモーメントの合計)/階高+(右側の柱の端部のモーメントの合計)/階高
= (140 + 100) /4 + (140 + 100) /4 = 120kN
続いて、屋上に作用する水平荷重P2と、2階の床に作用する水平荷重P1の合計が、1階の柱に作用するせん断力の合計に等しいので冒頭の式が得られます。
P2 + P1 = 1階の柱に作用するせん断力
P2 + P1 = (180 + 220) /4 + (180 + 220) /4
ここに先ほど求めたP2の値を代入すると
120 + P1 = 200
よって
P1= 80 (kN)
と求まります。
梁のせん断力QB
P1でも説明したように、梁のせん断力は梁の両端に作用するモーメントの傾きを計算するだけです。
そこで、まず左右の梁の曲げモーメントを求めましょう。
梁の左右のモーメントは上下の柱のモーメントの合計と釣り合います。
梁の左端のモーメント M左は
M左= 100 + 180 = 280 (kN・m)
梁の右橋のモーメントM右は
M右= 100 + 180 = 280 (kN・m)
です。
以上から、
QB = (M左+ M右)/L =(280 +280)/8 = 70(kN)
と求まります。
柱の軸力NC
軸力NCは,屋上の梁に作用するせん断力と2階の梁のせん断力の合計となります。
梁と90度振った方向にかかるせん断力が、梁から柱に伝わることがイメージできているでしょうか?
屋上の梁のせん断力 QRは,
(140+140)/8=35(kN)
となり、
その結果、
柱の軸力NCは,先ほどのQBを代入して
NC=QR + QB= 35 + 70 = 105(kN)
と求まります。
支点反力V
支点反力 V は NCと 1階の梁のせん断力の合計となります。
1階の梁のせん断力 Q1 は,
Q1= (220 + 220)/8 = 55(kN)
よって、支点反力 V は,
V = NC+Q1=105 + 55 = 160(kN)
と求まります。
答えは、4番の選択肢です。
お疲れ様でした!!