【構造】2018年平成30年度第1問塑性モーメント問題を解いてみた

こんにちは、博士です。

塑性モーメント、好きですか?

博士は嫌いです。
いや、大嫌いです。(笑)

でもね、点数は取りやすいので挑戦する価値はあります。

今回は

  1. キーワードの意味を確認
  2. 解き方

の順で説明していきます。

塑性モーメント問題201801

問題
図1 のような等質な材料からなる断面が,図2 に示す垂直応力度分布となって全塑性状態に達している。このとき,断面の図心に作用する圧縮軸力Nと曲げモーメントMを求めよ。ただし,降伏応力度はσyとする。

ちょっと何を言っているかわかりませんね。

いつも説明している通り、構造科目ではまずキーワードを抽出してください

今回のキーワードはこんな感じです。

これらの意味がわかれば、問題文が何を求めているのか理解できます。

キーワード

垂直応力度分布

断面の垂直方向に生じる応力の分布

垂直応力度分布とは、断面に単位面積あたりの応力がどのように生じているか、を示しています。

また、「◯◯度」とあったら1平方センチメートルや1平方メートルなどの単位面積あたりの力だと考えてください。

全塑性状態

力を除いても変形が直らない状態

全塑性状態とは、物体が大きな力を受けて変形したとき、力を取り除いてもその変形がもとに戻らず残ってしまう状態のことです。

例えば、プラスティックの薄い板を曲げていくと、あるところで折れ曲がり、手を放しても元に戻らなくなります。

これも全塑性状態と言えます。

圧縮軸力

圧縮軸力とは、部材を押しつぶすように軸方向に働く力を意味します。

曲げモーメント

曲げモーメントとは、部材を曲げようとする力です。

降伏応力度

弾性から塑性に変わる=降伏する単位面積当たりの応力

そして、降伏応力度とは、力を取り除けば変形がもとに戻る弾性状態から、力を取り除いても変形がもとにもどらない塑性状態に変化するときの単位面積あたりの応力です。(長い💦)

弾性状態というのは、プラスティックの板を少し曲げても手を離すと元の平らな板に戻る状態のことです。

構造科目では、一見難しそうに見えても、問われている内容そのものは難しくないことが多いです。
英語だと思って、単語の意味を面倒くさがらずに調べましょう。

問題文の意味

単語の意味を理解した上で、問題文をざっくり解釈すると、

問題文
図1のような物体に力をかけたら、図2のような状態で元に戻らなくなりました。このとき作用した力である、圧縮軸力Nと曲げモーメントMを求めてください。

という意味になります。

まったくもって大したこと言ってません。

ちょっと力入れたら形変わっちゃったんだけど、そんときどんぐらい力入れたか教えて、という意味です。

では、実際に問題を解いていきましょう。

解き方

圧縮軸力N


求めるのは圧縮軸力Nですが、ここでは一旦曲げモーメントに着目します

すると、圧縮側、引張側ともに同様の応力が生じていることがわかります。

この2つの応力は、大きさが等しくかつ反対方向に作用することで打ち消しあう偶力と呼ばれる物です。

そのため、圧縮軸力Nとは関係のないものとして扱って問題ありません。

圧縮軸力Nとして考慮しなければならないのは、偶力を除いた部分です。


軸力は、単位面積あたりの応力に、応力が生じている面積をかけることで求められます。

対象面積はロの字の縦の部分です。

よって、4a×a×2に、降伏応力度σyをかけて、8a二乗σyとなります。

曲げモーメントM


モーメントは、物体を回転させようとする力で、作用する力に距離をかけることで得られます。

この場合、作用する力はすでに出ている偶力で、対象面積に降伏応力度をかけて求めます。

求まった力に距離5aをかけて、20a三乗σyとなります。

答え


圧縮軸力N = 8a二乗σy
曲げモーメントM = 20a三乗σy

まとめ

いかがでしたでしょうか?

本質的に難しいことと、単に知らないことは、別です。

解けない!と決めつけずに今回のような学習方法で取り組んでみてください。

今日はここまで!!